(朝日)
教員採用などをめぐる汚職事件に揺れる大分県の多くの小中学校で1日、2学期の始業式があった。夏休み中にも事件の影響は広がり、県教委は不正合格だったとして08年度採用の教員21人の採用取り消しを決定。2学期開始後早々に子どもたちの前から姿を消す教員が出そうだ。事件関係者が在籍していた学校の校長らは不安を抱えながら、子どもたちに「頑張ろう」と呼びかけた。
「一生懸命遊び、一生懸命勉強して、新しい学校にしていきましょう」
佐伯市立重岡小学校に1日に着任した奥田悦生教頭(52)は始業式で、体育館に響き渡る大きな声であいさつした。贈賄罪で起訴され懲戒免職になった矢野かおる被告(51)の後任だ。山城豊校長(56)は「前の教頭先生は(自分の娘を)えこひいきして多くの方に迷惑をかけてしまいました」と、事件について説明した。
同校では約2カ月半にわたって教頭不在が続いていた。直前まで中学校教諭だった奥田教頭は始業式後、記者会見し、「小学校教員の経験も9年間あり、児童たちとはうまくいくと思う。教職員も一致団結している」と学校運営に自信を見せた。同席した山城校長は「新教頭のもとで、新しい重岡小を出発させたい」と意気込みを語った。
同市内の離島にある全校児童・生徒7人の大島小・中学校でも、この日着任した深田敏彦教頭(50)が「早くみんなと仲良くなって、一緒に勉強したり遊んだりしたい」とあいさつした。
同校では前の教頭が昇任人事をめぐり商品券50万円分を県教委幹部に渡したとされる贈賄罪で在宅起訴され、懲戒免職になった。校長は「子どもたちに苦しい思いをさせたが、一緒に頑張っていきたい」と話す。
贈賄罪で起訴された浅利幾美被告(52)の長男が8月26日付で教壇を去った大分市立小。「私はサッカーが得意です。昼休みに一緒に遊ぼう」。始業式で、長男の後任として着任した男性教員は子どもたちに呼びかけた。
校長の目に子どもたちは元気そうに映ったが、「安心感はない。信頼を得られる教育をしなければと、身が引き締まる思いだ」。
式後、この新担任のクラスだけ残り、校長が話をした。「心配をかけてごめんね。これから新しい先生とたくさんの歴史をつくってほしい」。担任の男性教員は「会えるのをとても楽しみにしていました。精いっぱい頑張るのでよろしく」と話した。
クラスのある男児は1日朝、「先生とサッカーしてくる」と言って、学校に向かった。母親は、息子の元気な様子を見てほっとしたという。
浅利被告の長男はいつも子どもに囲まれ、昼休みにはドッジボールをする活発な教員だった。この男児も慕っていた。だが、「新しい先生とも仲良くするよ。今年のクラスの記念写真は2枚になるなあ」と家で話したという。
母親は「先生がいなくなって残念な気持ちと、新しい先生に期待したい気持ちと半分半分」と、心中は複雑だ。
採用取り消し対象者が出た08年度採用の教員がいる市町の教育委員会は今のところ、学校に職員を派遣するなどの特別な対応をしていないところが多い。ただ、豊後大野市教委は市教育長名で、保護者あてに事件についての文書を作成することを検討中だ。
学校教育課の担当者は「採用取り消しについて保護者は心配している。今後、保護者から意見があれば、説明会を開くなどしたい」と話す。
県教委は5日をめどに採用取り消しを行うとしている。
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

